【書評】投資家が「お金」よりも大切にしていること

 

ひふみ投信で有名な、レオス・キャピタルワークス株式会社の社長でありファンドマネージャーの藤野英人さんの著書です。

 

【問題】
あなたはコンビニでペットボトルのお茶を買いました。
値段は150円。
そのお金は、コンビニのレジに収まったあと、いったいどこに行くのでしょうか?

 

これは、本書の最初にある問いかけです。
藤野さんが大学でこの問を出すと、

 

・飲料メーカーとコンビニの売上になる
・コンビニに商品をはこぶ運送業者の利益にもなるのでは?
・お茶農家の給料にもなる

 

といった答えが返ってくるそうです。

でも実際は答えはひとつじゃなくて、ほぼ無限にあるとのこと。

 

農具メーカー・パッケージのデザイナー・ペットボトルの素材業者・印刷会社・広告代理店・カメラマン・タレント・自動車メーカー・ガソリンスタンド・免許教習所の教官・タンカー会社 などなど

 

ごく一部を書き出しましたが、実際に自分でも考えてみると、本当にキリがないくらいに広がっていくことがわかります。

 

何気なく使った150円が、実はこんな風にいろんな仕事や人とつながって、経済に作用しているんですよ。

 

というのが本書冒頭のつかみです。

 

どうですか?面白くないですか?

 

ぼくはこの冒頭で引き込まれて、一気に読みました。

 

本書の概要

投資家がお金よりも大切にしていること

書籍名

投資家が「お金」よりも大切にしていること

著者 藤野英人
出版社 星海社
内容 人生でいちばん大切なカネの話をしよう
本書は、私が投資家として20年以上かけて考えてきた「お金の本質とは何か」の結論を一冊に凝縮したものです。特に、これからの日本を担う10代、20代に読んでもらいたい。なぜならお金について考えることは、自らの「働き方」や「生き方」を真剣に考えることと同義だから。若いうちにお金の見方が変われば、自分の人生や社会に対する見方も大きく、良い方向へと変わっていくでしょう。理想論を言っているのではありません。お金の本質を全く考えずに良い人生を歩んでいくのは、現実的に不可能なのです。カネの話は汚い、金儲け=悪だと思っている人は、世の中について何も知らないことを、自らさらけ出しているのかもしれませんよ。(引用)

 

【書評】投資家が「お金」よりも大切にしていること

投資家がお金よりも大切にしていること_1

厳しさと優しさが共存した本

 

この本を読んだ感想を一言でいうと、厳しさと優しさが共存している本だなと思いました。

 

タイトルからも分かる通り、投資の極意などが書かれた本ではなく、「お金」「経済」「投資」について新しい視点から見て、考えるためのヒントを与えてくれる本です。

 

僕が耳が痛いという意味で厳しいと感じたのは、日本人のお金との関わり方についての指摘。

 

 

日本人はお金儲け=悪、汚い、ズルいといったイメージを持っている人が多いそうです。

 

ですが一方で、諸外国に比べて現金・預金の比率が突出して高く、「投資」にあたる株式などの保有率は著しく低い、というデータがあり、お金にマイナスなイメージを持っているのに、実はお金を保有することが大好き、という証明が本書でされています。

 

また、日本人は世界一ケチな民族で、年間で成人一人あたりのお金を寄付する額が、アメリカは約13万円なのに対して、日本人は2500円なんだそうです。

 

データを見せられると、その差に愕然としますよね。

 

money

 

逆にすごく優しい考え方だなと思ったのは、「人は、ただ生きているだけで価値がある」という言葉。

 

この意味は冒頭にもつながるのですが、極論でいうと赤ちゃんはもちろんお金を稼げませんし、使うこともできません。
ですが赤ちゃんがこの世にいることで、ベビー服やおむつ、哺乳瓶、おもちゃ、絵本など赤ちゃんに関連する商品やサービスが無数に存在します。

 

ということは、それらの会社や従業員は赤ちゃんが存在していなければ仕事が成り立たず、生活ができないということ。

 

そういった意味で人間はどんな人でも生きているだけで価値がある。と書いていました。

この言葉にはすごく救われる人も多いんじゃないでしょうか。

 

そして人は誰しも、経済と無関係ではいられない、ということが分かります。

 

投資の勉強をする前に、まず読みたい

investor

 

僕がこの本を読んで特に印象に残っている部分を上に挙げましたが、他にもおもしろい話がいくつもあります。

 

・日本人が美徳としている「清貧の思想」
・「アリとキリギリス」のアリにそっくり
・日本の投資信託がトピックス型だらけの衝撃理由
・本当の安定とは「成長し、変化すること」

 

などはすごくおもしろく、アリとキリギリスの話なんかは、自分自身もまさに勤勉なアリ=正義、サボっていたキリギリス=悪、という単純な図式を子どもの頃から刷り込まれていたことに気付かされます。

 

「日本の投資信託が〜」も、現在トピックス型を中心に買っている方は、ポートフォリオを見直そうかなと思うかもしれません。

 

目からウロコな話も多く、かつ、お金や経済について噛み砕いて書いてくれているので理解しやすい本でした。

 

「そもそも」の部分から考え直すヒントをくれるので、これから資産運用を勉強しようと思っている方なんかは、まずは入口として本書を読んでみるといいんじゃないかなと思いました。

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること

 

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