今回は羆(ヒグマ)とマタギを題材にした小説や本10選をご紹介します。
羆(ヒグマ)による獣害を題材にした小説・本
まずは実際に日本で起きたヒグマによる獣害事件をモチーフにした小説や、獣害事件を検証しヒグマの実態に迫るノンフィクションなどをご紹介します。
羆嵐
日本史上最悪の獣害事件と言われている「三毛別羆事件」を描いた小説。
神出鬼没に村人を襲う羆が本当に恐ろしくて、迫力のある作品です。
北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!
日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。ーAmazonから引用
慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件
羆嵐と同じく、三毛別羆事件を取り上げたノンフィクション。
文庫版では福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件や「どうぶつ奇想天外!」の撮影中にヒグマに襲われて亡くなった写真家・星野道夫さんの事件の検証も収録されています。
1915年12月、北海道苫前村の開拓地に突如現れた巨大なヒグマは、一軒の民家に押し入り、阿部マユと預かり子の幹雄を惨殺。村人たちは恐怖に震えながらも、ヒグマ退治に乗り出すが、冬眠しそこねて〝穴持たず〟となり凶暴化したヒグマは、悪魔のような知恵を働かせて、村人たちを次々と牙にかけていくーー。
死者8名という世界的にみてもヒグマによる食害事件としては類をみない最悪の惨劇となった「三毛別(さんけべつ)事件」の全貌を、生存者たちへの貴重な証言をもとに描き出す戦慄のノンフィクション。文庫化にあたり、著者の『ヒグマそこが知りたい 理解と予防のための10章』より、著者自身のヒグマとの遭遇事件、さらに福岡大学ワンゲル部の日高山系におけるヒグマ襲撃事件、写真家・星野道夫氏の事件など別のヒグマによる食害事件を検証した二章を特別収録!ーAmazonから引用
シャトゥーン ヒグマの森
三毛別や福大ワンゲル部のヒグマと同様、冬眠しそこねた“穴持たず(シャトゥーン)”をモチーフにしたパニック小説。
シャトゥーンのパワーがあまりに規格外でマンガチックにも感じますが(マンガ化もされています)、いつどこから襲われるかわからない恐怖とヒリヒリ感があって面白いです。
あの超人気作家、夢枕獏氏が大絶賛した、第5回『このミス』大賞優秀賞受賞作が待望の文庫化! 「何年かに一度、時おり、動物パニックものの傑作が登場する。西村寿行 『滅びの笛』、吉村昭 『羆嵐』、志茂田景樹『黄色い牙』。本書、増田俊也の『シャトゥーン ヒグマの森』は、久かたぶりに出たこの手の話の傑作である」(解説より)
マイナス40度も珍しくない極寒の北海道・天塩研究林。そんな土地に集まった、学者や仲間たち。そこへ雪の中を徘徊する体重350キロ、ライオンの首を一瞬でへし折るパワーをもつ巨大ヒグマ、シャトゥーンが襲いかかる! 電話も通じない孤立無援の状況下から脱出することは出来るのか!?ーAmazonから引用
マタギを題材にした小説・本
次にマタギを題材にした小説やノンフィクションをご紹介します。
熊撃ち
羆嵐の作者・吉村昭さんの小説。
実在する八人のマタギを題材にした連作短編集です。
飢えに追いつめられて、つぎつぎと人を襲う熊。その熊をじっとねらう、村田銃をもった熊撃ちの名人。北海道千歳市では老婆や村娘が餌食となり、人々を震え上がらせていた。厳しい大自然を背景に、人間と熊が繰り広げる生きていくための闘い。大自然の中で生きる人々の緊迫感と、自らを厳しく律しながら深い山へと分け入って行く誇り高い猟師たちの個性あふれる姿、そして野性の猛獣と原生林の迫力を、乾いた筆致で生き生きと追う。実際におきた七つの事件と実在する八人の熊撃ちを題材に、孤独で忍耐強い彼らの生きざまを描く連作短編集。
ーAmazonから引用
邂逅の森
青年・松橋富治のマタギとしての人生を描いた小説。
ラストの巨大熊との対決はもちろん見ものですが、それまでの人間ドラマもめちゃくちゃ濃い作品です。
山の民「マタギ」に生まれた青年・松橋富治は、身分違いの恋が災いして秋田の山村を追われ、その波乱の人生がはじまる。何といっても圧倒されるのは、山のヌシ・巨大熊とマタギの壮絶な対決。そして抑えつけられた男女の交情の色濃さ。当時の狩猟文化はもちろんのこと、夜這い、遊郭、炭鉱、男色、不倫など、近代化しつつある大正年間の「裏日本史」としても楽しめる冒険時代小説です。長篇小説ならではの面白さに溢れた、第131回直木賞受賞作!
ーAmazonから引用
マタギ 日本の伝統狩人探訪記
有名な阿仁マタギの生活に迫ったノンフィクション。
動物文学の第一人者・戸川幸夫が昭和20~30年代に秋田県阿仁を訪れ、山の戒律を受け継ぐ最後のマタギたちを記録したノンフィクションの名作を文庫化。
マタギたちとともに行き部会山に入って狩猟の現場を取材し、往時の集落を訪れて衣食住や風習、マタギのルーツなどを精緻な文章と豊富な写真で記録した。
マタギのシカリ(頭領)の家に代々伝わっていた『山達根本之巻』の原文と現代語訳も公開。ーAmazonから引用
完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化
こちらも同じく阿仁マタギの生活に密着し、撮影・記録したノンフィクション。
秋田県北秋田市阿仁地区のマタギたちの猟や生活風景を15年以上にわたり撮影・記録した『マタギ 矛盾なき労働と食文化』と、
クマやノウサギなどの獣肉や山菜・キノコ、渓流魚など実際にマタギたちが利用する四季折々の阿仁の伝統食を紹介している『マタギとは山の恵みをいただく者なり』を合本して一冊に。
猟の様子から食生活まで豊富な写真をまじえてマタギの世界を伝えます。ーAmazonから引用
奥会津最後のマタギ: 自然との共生を目指す山の番人
奥会津最後のマタギと言われる猪俣昭夫さんに密着したノンフィクション。
マタギとはただ獲物を狩るだけではない。
猪俣昭夫さんは福島県金山町に江戸時代前から住み着いたマタギの系譜を継ぐ奥会津最後のひとり。これまでに仕留めたクマは80頭以上。70歳を超える今でも冬は猟へ向かう。
しかし、ただクマを仕留めるだけでなく、「必要に応じて獲物を獲り、数を調整することで動物界の生態系を守り、人間と自然の共生を図ることが自らの使命」だと考えている。
日本ミツバチの飼育、ヒメマスの養殖、山菜採りやキノコ狩りなど、自然の恵みを享受しながら暮らしている猪俣さんに憧れ、師事したいという2人の若者も現われた。
奥会津の最後のマタギに密着した。ーAmazonから引用
羆撃ち
「情熱大陸」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」などに取り上げられたこともある羆ハンター・久保俊治さんの著書。
羆ハンターと美しき猟犬の熱い絆の物語。
日本で唯一の羆ハンターと美しき猟犬との熱い絆の物語。日経新聞、北海道新聞、週刊文春、NHKほか多数で取り上げられ、大絶賛されたノンフィクションがついに文庫化!「涙でページがめくれない」との声が多数!著者の久保俊治氏は北海道で羆のみを追う日本で唯一のハンター。相棒の北海道犬「フチ」との出会いから、リアリティに充ち満ちた狩猟、アメリカ留学、帰国、そして再びの猟生活を類い希なる表現力で描く。椎名誠氏は「男が野生の風になる瞬間を知った。その研ぎ澄まされた感性に羨望する」とコメントを寄せている。
「フチが私の顔を見る。その目が輝いている。行け、呟くように頷く。藪に走り込み、あっという間に姿が見えなくなった」
「下枝の張った太いエゾマツの下で、雨を避けてビバークする。たき火のかたわらで、飯盒のメシを分け合って食べる。砂糖湯を飲みながら、私の膝に顎をもたせかけているフチの頭を撫でてやる。気持ちよさそうに目を細めるフチの顔をみながら、またとない相棒を得たという思いがフツフツと湧いてくる」(共に本書より)。
北の果ての大地で相棒のフチと羆に立ち向かう孤高のハンターの感動の物語は誰の心をも打つ。ーAmazonから引用
ヒグマとの戦い
こちらはマタギではなく北海道の狩人の冒険譚です。
ヒグマとの戦いはKindle Unlimited対象作品(本記事執筆時点)なので、Kindle Unlimited利用者は追加料金なしで読めます。
大正から昭和にかけて猟銃を携え北海道の原野を駆けめぐった、ある狩人の若き日の冒険譚!
狩猟の隠れた名著を未公開写真も収録して文庫で復刊。100年前の祖父は山野を縦横無尽に駆け巡り、狩猟に釣り、温泉開発、
鉱山発掘などフロンティアマンとしてその時代を生きていた。100年前の根室原野を駆け巡った祖父の冒険談の楽しさが伝わると幸いです。
(「祖父・西村武重について/西村穣」より)私の叔父(北海道石狩郡当別村)が狩猟家であったので、私の家(札幌郡篠路村)へ訪れると、
大きなガンやカモ、ウサギなどをおみやげに時々持って来た。私は大人になったら狩人になろうと思った。私は、明治四十四年より今日に至るまでほとんど一生を、未開の森林渓谷を探して、狩猟と釣りに費やしたようなもので、
最早人生の終着駅にあり気息奄々たる老爺となってしまった。この本にあるものは大正から昭和にかけての若き時代の思い出の昔話である。
まとめ:羆(ヒグマ)とマタギを題材にした小説・本10選
以上、羆(ヒグマ)とマタギを題材にした小説・本10選でした。
羆による獣害事件やマタギの生活を知りたい、という方はぜひチェックして見てください。